
佐渡にある逸見(へんみ)酒造を見学しました。
蔵元に触れ合うタイミングは中々計れないので感謝感激です。
全国でメジャーな佐渡銘醸(天領盃)やデ・ニーロがイタリアンレストランの
展開に別注した北雪酒造(北雪)をもってもだめです。
この逸見酒造でなければダメなのです。
なぜならここの真稜(しんりょう)なる酒のうまさは奇跡だからです。
他は商業的でダメダメなんですね。
早速見学をスタートしましょう。


見てください。ぼくとつとした仕事ぶりが伺える構えです。
生真面目さがにじみ出ています。
見学には適切な時期があります。
こちらは4月~11月中旬までが見学可能です。
なじみであれば例外的に1月~3月の入場はできますが麹菌以外の
雑菌を事のほか嫌う蔵元ならではの常識により不可となります。

試飲ボトルを出されちゃ飲まないわけにはいけません。
ブレーキを踏みつつ2/3ほど頂きました。


こちらは5年ほど前から毎年訪問しています。
今回は新作の純米吟醸"至(いたる)"のお試しがメインです。

精米した山田錦や五百万石を洗米する機械です。
洗米された酒造好適米に地下水を吸水させます。
この工程を浸漬といいます。
浸漬は精米度合い(米の削り具合)により時間的長短がつけられます。

蔵元必須の地下水揚上ポンプユニットです。
この仕込水温度は12℃~14℃で一定しています。
全ての酒造工程をこの水で賄うのです。
仕込み水は味を損ねる鉄分含有が少ないのが良しとされます。
含鉄泉の温泉の多い地域の日本酒は出荷前に成分調整(他ミネラルの投入)が
なされているので雑味が出る傾向です。
yukipediaは青森系、秋田系や会津系は飲みません。
評論家のおっさんが激賞したらそれはちょうちん記事なので
無視して結構です。
って嫌ってちゃあ、飲むところが少なくなっちゃうんですがネ。
ことの他、水源確保は蔵元の生命線でありまさに命の源なのです。

洗米した米を炊き上げます。
蒸米(むしまい)あるいは蒸強(じょうきょう)と言う工程です。
スーパー銭湯にある五右衛門風呂のような大きさです。
周辺にパイプを這わせ熱源とします。
ものすごい炊き上げ蒸気が出ることでしょう。

漆喰の壁の向こうで麹を加えた酒母(しゅぼ)が眠っています。
特別に開けてもらいました。

この部屋では醪(もろみ)と言われる発酵過程が行われています。
タンク内には酒母、麹、蒸米、水が渾然となっています。
麹の素になる麹菌はこれを管理する日本醸造協会より供給されます。
yukipediaはてっきりオリジナルでタネ菌を研究開発し厳密管理をしている
のではと思っていましたがそれができるのはR&Dを備えた月桂冠ぐらいでは
ないかとの杜氏の発言でした。
要はその行為がペイするかしなかのお話だそうです。
この奥に上槽(じょうそう)と言われる醪を絞り酒粕と酒に分ける
絞り場があります。

上槽した酒を濾過するタンクが並んでいます。
税務署の検査が受け易いようにタンク規格は決まっています。
1cmの厚みで約18Lとなるそうです。
同時に滓引き(おりひき)をします。滓は上下に分離するので真ん中の
清澄な部分を切り取ります。
この工程を3回程行います。

年季の入ったホーロー製タンクです。
二拾八石六斗七升九合≒5151Lとなります。
yukipediaは換算できません。
今となってはほとんどSUS製(ステンレス)だそうです。

灘琺瑯(ホーロー)タンク製作所東京工場製造です。
昭和21年ではありません。
右読み出しではありますが数字は左から12年と読みます。
ここで暫く寝かせ規格に則り水を混ぜたり(割水)発酵を停止させる事と
殺菌を兼ね熱を加え(火入れ)ます。温度は60度近辺です。
火入れ後に瓶詰めで口いっぱいに入れた酒は保管する冷暗所の雰囲気も
手伝って穏やかに安定します。
熱膨張が収まった酒は瓶の中で水位を下げ真空状態を作ります。
火入れは酸化による劣化度合いを下げる働きもあるのです。
yukipediaが抱いていたプレミア感である
生酒と言われるものにはこの火入れが省かれています。

漆喰扉の向こうの部屋では寝かせが行われています。
ワインと違い厳密な温湿度管理はしません。
コルク栓ではないのと外気と遮断されていますのでケアは紫外線だけ
となります。
この中で奇跡の神の水は再び大地に戻るまでゆるやかに時を刻みます。
同じ蔵の中でH14年ものが出荷を控えていました。
蔵元の歴史と杜氏の魂に触れることができ大変満足な
社会見学でした。




